ここ最近の夏、やたら目につく男性がいる。
街中で見かける、麦わら帽子とデニムのハーフパンツとサンダルといった格好をした男性たちだ。
そこで思い浮かぶのは、押しも押されもせぬこの人気キャラクターだ。
私は麦わら帽子とデニムのハーフパンツとサンダルを履いた彼らを見ていつも思う。
彼らはルフィを愛しているのだろうか。
ワンピースファンなのであろうか。
しかし、このファッションの男性があまりに多いことに気づいたある日、ふと別の考えがよぎった。
逆なんじゃないか。
彼らがルフィに寄せたのではなく、ルフィが彼らに寄せてデザインされたのではないか、と。
つまり、ルフィは、一般男性が多くするであろうファッションを基に、ビジュアルがプランニングされたのではないか、と。
だからこそ、多くの男性が、ルフィを好きになったのではないか。
創作のキャラクターには、共感が必要だ。
メジャー作品であれば、絶対だ。
それは内面で補完されることが多いが、ビジュアルで保管されるかは二部される。
少年漫画であれば、特徴的なデザインが必要であるし、青年向け漫画であれば、稼がない現実的なデザインの方がいいだろう。
私はルフィは圧倒的に前者だと思っていた。
しかしよくよく因数分解したら、ルフィは前開きではあるものの割合ありそうなトップスにデニムに麦わら帽子にサンダル(草履かもしれない)なのだ。
ブリーチもしていないし、亀仙人の道着も着ていないし、足よりはるかに大きな靴も履いていない。
尾田先生の個性的な絵柄と豊かな表情に惑わされていたが、実はルフィは非常にリアリティのあるデザインだったのである。
自分に近いビジュアルであるルフィは、多くの男性に親近感を抱かせ、さらに憧れの内面を持たせることで、華のあるキャラクターとなったのだ。
なんたるバランス感覚であろう。
このことに気づいた時、私はまた尾田先生の天才性にしびれたものだ。
天才ってバランス感覚が優れた人のことを言うのかもしれないね。