基本、エンタメでは、美男美女が恋愛を含んだ物語を巻き起こす。
私はそれがどうしても苦しかった。
さりとて、片方の外見スペック低くしてしまうと、ブスに花束をみたいな話になってしまうわけで、物語の尺がそこに奪われてしまう。
美醜にはこだわらない、という一大テーマになってしまうのだ。
しかもメインに美女じゃない子を据えると、かなり力量が問われてしまう。
(それにしたって、サブヒロインは美少女であるという、どうやっても美女からは逃れられない物語の仕組みは存在している)
それが、美男美女だとどうだろう。
サクサク物事が進む。
恋愛ものなら、美男美女ゆえに、ライバルなら間男なりが現れてくれるし、
ファンタジーも美男美女なことが大前提で、冒険が次々繰り広げられる。
美形じゃないと、ブサメンガチファイターになってしまうのだ。
やはり、物語が、美しくないことのエトセトラに取られてしまう。
美男美女ではないと、スムーズに先には進めないのが物語なのだ。
このように、物語は、物語自体が、美男美女が大前提という残忍な性質を持つ。
私は特定の、美男美女賛歌の物語に傷ついたのではない。
物語の構造の残忍性に傷ついたのだ。
それがわかってスッキリした。
もし、物語を書く人で、2次元のナチュラルなルッキズムに疑問を抱き、かつ、作家として”棄却域”になりたくないという方がいたら、参考にしてほしい。
私たちは、自分の心も大事だが、作家として”棄却域”に行くわけにもいかないのだ。
一個一個の物語が、ルッキズムを推奨しているのではない。
そもそもが、物語の構造が、美男美女前提のシステムなのだ。
だから、作品個々をディスるのは違う。まして作者はルッキズムだと罵るのも短絡的すぎる。
たまに、容姿ではない、という物語があるではないか、と思われるかもしれない。
先述の、ブスに花束をもそうだし、少年向けだと、ブサメンガチファイターもそうである。
しかし、繰り返しになるが、容姿に恵まれない人間を主人公に据えた場合、人間容姿ではないが、一大テーマになる。
奇しくもブス花も、ブサメンガチファイターも、容姿をディスる言葉が入っていて、それが一大テーマになっていることを予め示している。
容姿に恵まれない人間が主人公の場合、それを示さねばならないし、そこありきのエピソードになる。
物語はルッキズムありきなのだ、ということの反証にはならないのだ。
(それを反証する必要なんてどこにもない。私が一方的に探して、見つけられなかった、と嘆いているだけです。そして両作品は死ぬほど面白く、大尊敬で、大好きです。考察とは別の話です)
主人公は美男美女でないと、物語はルッキズムにおけるアレコレを扱うことになってしまい、その先のことを描きづらいのだと思う。
物語をつつがなく進行させ、ときめきなどを存分に味わうには、主人公たちが美男美女であることを前提にしなければならない。
物語を作るのであれば、さらにいうなら読み手として広く楽しむためにも、物語が持つその残忍性など、軽々乗り越えていかねばならないのだ。
ここに躓くと、マイナー作家になってしまうのかもしれない。
(ブス花もブサメンガチファイターも大人気作品ですが、このジャンルが数として多くない、という意味で難しいということです。特定の作品の数字をどうこう言っているのではありません。)
マイナー作家が悪いことではありません。
素晴らしい作家さんによるすばらしい作品はたくさんあります。
ただ、メジャーになりたいのに、何かがおかしくて躓いてしまって、どうも人気のでるものを生み出せない、納得できない、という方の何か気が楽になるきっかけになればいいと思い、自身のためにも書きました。
また王道の恋愛物がどうしてもつらいときは、構造として暗記してしまうのが吉だったりもします。
いまどきの男女の役割、正しい性差、を考え始めると、エンタメ作家としては本当に伝えたかった大枠を見失ってしまうことになるからです。
中村あやえもん先生のこちらの本が、感情を仕組で抑えてくださるのでバイブルにしてる。
ときに理論的な言葉は、感情を癒してくれます。
こちら、キンドルの読み放題で読めます。ありがたいですね。
私個人のフェミ観・ルッキズムについてはここでは触れません。
一生ネットでも出さないと思います。
顔も知らない方と、こんなにもデリケートな問題を語り合う気がないからです。
私は私でプライベートで思うことがあり、痛みがあり、対処する努力を重ねている…とだけ申しておきます。それはみんな一緒だと思いますし。
こちらは、棄却域にならないエンタメ作家の生き残り戦略として書いております。
また参考に出させて頂いてる作品は、私が大好きで読んでいる作品ばかりです。
「?」と思う作品については言及しません。
解釈など違いましたら申し訳ございません。私の読解力不足の致すところです。
作品自体の優劣や在り方についてお話しているつもりはないのですが、
そう捉えられたら、ひとえに私の力不足です。失礼しました。
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