ヒカルさんの『心配すんな。全部上手くいく。』読みました。
セミナー講師の方とかが書いた本なら、私内容に怒ってたと思う。
再現性のある成功ハックに見せかけた、なんてことはない、成功者の体験記でしかないから。
個人的な体験を「あなたもできる」と言い出すことは、ポエムでしかないと思ってる。
今時、このテのヤリクチはもうさすがに通用しないだろう、と思っていたので、逆に驚いた。まだ通用するんか? いやしない。ヒカルさんだから通用しただけだ。
そして手垢のつきまくった手法だとしても。
ヒカルさんが書いた本だとしたら読む意味が出てくる。
現役の大人気ユーチューバーさんの本なので、学びどころがないわけがないのだ。
夢を叶えるために、学ぶことはあったか、というとない。無。
成功のためのエッセンスはあったか、というとない。無。
お金を得る手がかりだって、ない。無。
じゃあ、どんな意味があったの?
好かれてるための教本ではあったのだ。
ヒカルさんは作中でも書かれていらっしゃいますが屈指のコミュ力モンスターでいらっしゃる。コミュ力についての章もちゃんとある。
「なるほど。じゃあ、コミュ力の章の内容は良かったんだね」っていうとそうじゃない。
コミュ力について学びたいなら、普通のコミュ力本のほうが優秀である。
会って話すこととか名著すぎて人に会うたび読んだほうがいいレベル。
何をどう学ぶか、っていうと、本の内容、それ自体を見ちゃダメなんだ。
もっと俯瞰的な話。
ヒカルさんの読者へのスタンスが、好かれる在り方のお手本なのよ。
どういうことか。
ヒカル 知識を教える人
読者 ヒカルから知識を教わる人
っていうスタンスで本を読んでしまうと、ビタイチ得るものがない。
だって知識が有用じゃないんだもの。ポエムだから。
実際はこうだよ。
ヒカル 好きにさせようとしてくる人
読者 ヒカルを好きになるかどうか選ぶ消費者
このスタンスで読むのが正解。
こちらは客であり、客体なの。
ヒカルさんは私たちを好きにさせようとしてくる主体なの。
この本は、成功のノウハウ集じゃない。
ヒカルさんの、客への口説き文句集なの。
ヒカルさんが人を好きにさせようとする時、何をしているかが、そのまま表れてるんだよ。
ノウハウ集じゃなくて、ヒカルさんのコミュ力を物質化したら、たまたまノウハウ本だったというだけ。
だからね。一行一行めちゃくちゃ価値あるよ。
一行一行、全部に、人に好かれるためのテクニックがつまってる。
ヒカルさんが、この本でやってることを他人にやれば、まず嫌われない。
好かれる。
嫌われる勇気ならぬ、嫌われない勇気よ。
ちょっと視点をズラして、ヒカルさんの言葉を見たときの自分の心の動きを見てほしいんだ。
きっと、救われたはず。気持ち良かったはず。そしてヒカルさんを「いい人」と思ったはず。好きになったはず。
そう、ヒカルさんが本で言ってることは見事に好かれることばかり。
言って欲しい言葉たちだってことに気づく。
・好きなことで生きて行こう
・普通の人と東大の人と頭の出来は、そう変わらない
・いつからでも遅くない
・お金はそんなに大切じゃない
・400円の牛丼で満足
・「心配すんな。全部上手くいく」
タイトルになるくらいだから、きっと威力は絶大なんでしょう。
これ、世に出ていく人は絶対絶対覚えておいたほうがいい。そういう意味で、買って損はないんだ。
世に出なくても、このスタンスでいればまず嫌われない。つまり生きやすい。
「え~そんなことで好かれる?」と思った方。
試しに、上記に挙げた言葉たちを逆にしてみるよ。
・好きなことで生きてなんていけないんだから諦めろ
・東大の人は遺伝レベルで頭の出来が違う
・夢を叶えるのにタイムリミットは残酷ながら存在する
・お金は命より大切
・400円の牛丼より3万円のお寿司のほうが普通に美味しい
ね。立派に嫌な奴でしょう。
いや、さすがにこんないい方する人もいないと思うけれど、表現をマイルドにしたり、相手を思いやったとき、これと内容的には同じこと言ってる人は多いハズなんだ。
無謀な挑戦してる人がいたら、親身になった場合、現実的な話をするでしょう。
そのとき、どうしたって嫌われることを言うことになる。
表現をマイルドにしたとしても、相手を思いやってのことだとしても、やっぱり嫌われるものは嫌われる。
正しいことを言って説教なんてしちゃダメなんだ。
相手にとってうれしいことだけ言わないといけない。
岡田斗司夫さんが言うところの、いい人戦略ね。
ヒカルさんはこの本で、いい人戦略を正確にやりぬいていらっしゃる。
お手本だよ。
ヒカルさんは、絶対ご自身で、この本に再現性があるなんて思っていらっしゃらないんじゃないだろうか。あれだけ成功収めた人だもの。
(本気ならそれはそれで凄い)
でも…
どう書けば本を手に取った人が喜び、
ヒカルさんを好きになるかは
熟知していらっしゃると思う。
器用な天才の思想の片鱗が見えて、不器用な努力家の私は、面白いなあ、とは思った。
けれど、それ以上に、人に好かれる方法を衒いなく実行されてることに感動した。
成功のためのノウハウ本、って思うと、ちょっと躓いちゃう。
けれど、
好かれるためのお手本集、って見たとき、あなたの人生変えちゃう一冊かもしれません。
好かれたら人生イージーだもの。
そういう意味で、ヒカルさんは親切なんだろうなあ。
(いい人戦略にハマった消費者がここに)
ヒカルさんは、ご自身のことをダークヒーローだと文中でおっしゃってます。
そうかもしれません。
でも、ダークヒーローもヒーローなんですよ。
だから、本当の意味で嫌われることはやっていらっしゃらないし、ちゃんと好感度は守り抜いていらっしゃる。
で、こんなこと書いちゃう私は、いい人戦略の見事な敗北者ですよ。
でも嫌なんだもん。再現性のない成功哲学で泣く人が増えるのは。欺瞞ですがね。
再現性のある成功哲学が知りたいなら、岡田斗司夫さんのスマートノートや、なにおれさんの本がいいんじゃないかな。
大規模な夢を語らないし、リスクヘッジもちゃんとしてる。
それでいて現状に甘んじない、とっても親切なつくりだと思う。
「お前ヒカルさん嫌いなんか」って思われたかもしれません。
違うよ。天才だな~っていつも感動してる。つまり素敵だと思ってます。
素敵な天才だと思ってるからこそ、この本をハックとして読んじゃいけないって思っただけ。
私がヒカルさんを天才だと思ったのは、ホワイトナイト事件。
私は、例の事件を、「えらいミスが起きたなあ…そして大変なことする人がいらっしゃるもんだなあ…」って「ニュース」として捉えて、凡百も凡百の感想を持ってぼーっとしてたの。
でもヒカルさんは違う。あんなことをされた。
人に注目されたいなら、それで稼ぎたいなら、人と違う発想を持っていないといけない職業なら。
例の事件をどう扱うか、まで考えないといけなかった。
ぼけっと「凄い事件やなあ」って見てちゃいけなかった。
実行の是非は違う話ね。「こうしたら、注目が集まるんじゃないか」って「発想」自体は持ってないとダメだったんだよ。私は発想自体を放棄してた。んだもんで、凡夫が凡百の反応したんだって、愕然としたよ。自分にさ。
だから、私は、ヒカルさんは自分とは違う天才なんだ、ってそのとき思ったんだ。
格の違いを思い知らされたんだよ。
ヒカルさんは文中で、「東大の人もそうじゃない人も、頭のデキはそう変わらない」と書いてらしたけれど、私は、自分とヒカルさんの頭のデキがそう変わらない、なんて思わなかったよ。全然スマートさが違う。
ヒカルさんはおしゃべりが得意だった、とも書かれています。
おしゃべりが上手な人って何? というと、目の前の相手の需要をイチ早く察知して、それを「提供」までできる人のことだと思ってる。
ヒカルさんは、それができる。そしてその才覚はYouTubeという媒体と相性がこれ以上ないくらいいい。
天才と、時代を代表する媒体が噛み合った。そして成功が生まれた。
残念ながら、そこに再現性はないんだなあ…。
私はおしゃべりが下手。それは目の前の相手の需要を読むのが遅いし、実行に対してテレなりなんなりあるから。
そんなドンクサイヤツは、心配せずして成功はない。
『心配しろ。そしたらだいたい悪いようにはならない。』
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