たぬきサマー

ミニマリストだけどコスメ好き

【物語ハック】女性向け漫画家が語る、女性向け漫画のプリンセス願望への向き合い方【資本主義と夢と】

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こちらの記事を読んで、現役女性向け漫画家である私も語ってみたい。

 

女性向け王道漫画が昔から苦手である。

 

人気者のイケメンが主人公をなぜか愛するという構造が苦しかった。

 

人気者に好かれて気持ちいいのはわかる。

それを素直にいいものと賛歌していいのかが疑問だったのだ。

 

人気者の数は多くない。

そんな人に好かれたら気持ちいいし手放せない。

そこを幸せとして定義しきってしまうことへの罪悪感が強かった。

 

書き手としてもそれは同様である。

自分の人生に起こり得ないことを書くのがつらかったというのもある。

 

しかし自分は女性向けに創作をしている。

私はいつも、女性向け王道作品に対する葛藤を抱えながら描いていた。

 

そもそも向いていないのではないかと、常に自分に問いかけていた。

 

そんな中でも、

自分の作品の中でも少し好評な作品がある。

それは、自分らしく描かせて頂いた作品だった。

冒頭のような葛藤はなかった。

ヒーローがイケメンだけど嫌われ者だからだ。

 

私は嫌われ者のイケメンに好かれることはあるのではないかと自分の人生に対して評価している。

 

ギリギリ自分の人生で起こり得ることなのだ。

 

だから、楽しく描かせて頂くことができた。

 

でもこの作品だって、大変な好評というわけではない。

 

やはり女性向け漫画は、

人気者のイケメンに好かれてこそなのだ。

 

その説明を見事にしてくれていた記事が冒頭の記事である。

 

女性の自己実現はハイスペック男性によってのみ成立すると訴える構造

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女性向け漫画の、まさにこれが苦しかったのだ。

 

「人気者の男性を使った自己実現」はあまりに危険であるし、

それを標榜したくはなかった。

 

女の自己実現の物語はないのか、と問いかけた記事を何度ともなく、見かけたことがある。

きっとある。あるに決まってるのだ。

これだけ投稿サイトが充実していて、ツイッター漫画の需要があって、望む漫画がない、なんていうことはまずないからだ。
目立ってないだけだし、目立ってない漫画を探すのを怠っているのを、作家の層の薄さと勘違いしてしまっているのは、きちんとカウンター的作品を世に出している作家さんに失礼ではないかと思う。

 

女の男を使わない自己実現の物語は、探してまで読みたくない層が読みたいジャンルなだけだ。

 

ないことにしてはいけない気がする。

カウンター作品で飯を食ってない私だからこそ、そう思う。

 

男を使った自己実現の物語にはちゃんとお金を出すお客さんが大勢いてくださるジャンルなだけである。

資本主義だからそうなってる。

 

「人気者ではない男を得る物語」は、「女の人生の楽な自己実現の道具」として機能しない。

「人気者ではない男」というのは、「女が主体的につかむ、自分だけの宝物」であって、「他者評価と幸せ」を実現してはくれないからだ。道具として不足している。

 

そういう意味では、人気者ではない男を得る女の物語は、恋愛ものであるけれども、宝物を得る冒険譚の形を取っているとも言える。

 

ラブストーリーも、刑事物同様、バディものであるというように、同じ女性向け恋愛漫画であっても、実は型が違うのだ。

 

でもあんた、こんなホネあるっぽいこと言っておいて、いつもモテの記事書いてるじゃない、と思うじゃないですか。

 

ここでお伝えしておきたいのですが、私はモテのプライオリティを高く置いているわけではないんですよ。

 

まして、モテる人が人間的に上だなんて思ってないんです。

 

私個人の好みを言うなら、男を自在に操る人より、異性からの好意に、微塵も優越感も快感も覚えない人の方が憧れます。

人生を誰にも振り回されない人ということだから。

 大好きだし、心酔しちゃうし、人生のお手本にしてるのはそういう女性です。

 

ではなぜモテについて書くか。

 

異性に好かれるスベを知らないことで、男性に振り回されたくないからです。

人生はスベを知らないほうがいつだって振り回されて不利に追い込まれます。

それで頭がいっぱいになったりもします。

 

その気になれば、いつだってモテる、という準備が、どれほど人生を救うか。

冷静に男性と自分とふたりの関係性を見つめるスベを持っていたら、無駄な時間も感情も大幅に減らせるのだ。このことを知らない人はあまりに多い。

美人で魅力的であってもだ。

 

ちなみに遠足の準備が一番楽しいとも言われているが、モテも同じ。

モテる準備だけしておけば、実際モテる必要もないと思ってる。

 

ある程度モテる、と自分で思えていたら、異性に振り回されず、別の楽しいことや自己実現に時間や感情を使えるのではないかと私は仮説を立てている。

 

その上で、好きでもない人から金品なり感情なり、何らかの搾取をするかどうかは、また別の話である。
モテたい意欲=搾取願望というわけでもない。

 

まあ、ここまで、私が一個人の女性としてこの思考を持っているのは何の問題もない。

しかし、書き手としては大問題なのだ。

このような思想で創作していたら、大ヒットは望めない。

 

大多数の潜在ニーズを満たす、つまり読者メリットを提供しなければ、数字は伸びない。

 

私のこの人生哲学という自意識を乗り越え、いちエンターティナーとして割り切りができたとき、

 

人気者男性に愛されることによる自己実現

 

を提供することができるようになるのだろうか。

 

できればそうなりたいなと思って、今回の記事を書いた。

 

よって、自分の描く物語は、よくある女の自己実現とは違うのよ、などと言いたかったわけではないことは明記したい。

 

それが描けないことに、私は25年以上悩んできたのだから。

 

これはつまらない自意識を引きずって、未だプロの感性になりきれない自分を観察することによって、その青臭い感情と決別するための葛藤の言語化だ。
ちなみにさきほどの記事のここ

 

 

①主人公の少女は平凡かそれより少し上程度、もしくは冴えないタイプである。

②相手の男子は、異性にモテるタイプである。

③非常に献身的な同性の友人が、たいてい一人か二人いる。その友人は、決して主人公のことを裏切らない。

④主人公に恋愛のライバルがいた場合(友人が兼ねることもある。)、そのライバルと和解したり、別の恋の相手が出てくるなど救済策が用意される。

⑤主人公と相手役、主人公の友人、その相手役などで主人公を中心とした小世界が形成される。

⑥この小世界の中で話の種が尽きるまで、延々と小エピソードが繰り返される。



女性向け作家になりたい方は、暗記することをおすすめします。

 

テストならぬ、数字に出るよ…。

 

私も覚えちゃお…。

 

⑥小エピソードの繰り返し、とあるが、

その小エピソードは実は死ぬほど作るのが難しい。

 

小エピソードと言葉にして仕舞えば簡単だけど、

じゃあみんなに愛される小エピソードを

どうやって作るの?

と言えば、それは作者さんのセンスと努力と観察眼でしかない。

 

みんながみんな、愛される小エピソードを作れるわけではない。

少なくとも私は作れない。

これ系漫画を小ばかにしがちな人は、ぜひ実際作ってみて頂きたい。

全然出てこなくてびっくりするので。

え? 「死ぬほど出てくる」? ぜひ、ご一報ください。

報酬お支払しますので、その案ください…切実に…。

 

個人的に、ぜひ小エピソードの作りを、得意な方に分析してもらいたいなと思った。

 

これ、自分が経験するか、友だちに聞くか、聞き耳たてるかしかねーんじゃねーのか…って絶望する。

 

それ以外で作れるよ、って方はやはりメールください。

レッスン料もお支払します。

 

拙いながらも現状の、小エピソードはこうやって作るのではないか、という仮説を言語化してみる。

 

まず学校の年間スケジュールを出して、そこにお約束を入れていくのはどうだろうか。

  

1月 冬休み 始業式 生徒会役員認証式 修学旅行

 

2月 卒業判定会議

 

ヤンキーものであるなら、このイベントは大事そうである

 

3月 卒業式 定期考査 大掃除 春休み

 

4月 春休み 始業式 避難訓練 オリエンテーション

部活勧誘 身体検査

 

5月 GW 生徒総会 定期考査

学園モノとしてはやや地味な印象か

 

6月 教育実習(学校によってばらつきあり)保護者会

5月より地味 

とはいえ、家族ものの漫画も増えてるから軽視はできない

 

7月 定期考査 終業式 夏休み

学園物ではひとつの見せ場である季節

 

8月 夏休み

花火を見に行く約束は絶対入れたいところ。

帰省もいいかもしれない。

動物園・遊園地など、花盛りだ。

 

金持ちの友達の別荘におじゃまするイベントもベタながら嫌いな人はいないから入れ込もう。

「あいつ金持ちだったのか…」までがデフォルト。

 

9月 始業式 文化祭

 

文化祭は学園ものの見せ所の1つ。

演劇、お化け屋敷、女装喫茶、コスプレ喫茶、ぞんぶんに華やかにしていこう。

 

10月 定期考査

 

スポーツものなんかでも軽く触れられるエピソードですね。

勉強会も良さそうです。 

 

11月 生徒会役員選挙

 

生徒会が幅を利かせていたり、生徒会に巻き込まれている主人公であったなら、大事なイベントになるでしょう。

 

12月 定期考査 終業式 冬休み

 

クリスマスは大事なイベントなので、気合を入れて作りましょう。

 

主人公の誕生日

ヒーローの誕生日

付き合ったなどの記念日

お泊り

初キス

初濡れ場

風邪

ペットの何か

家族の何か

 

マニュアル化できるとしたら、それくらいかな…?

 

いかがでしょうか。

 

創作する人間が、分析と言語化が上手いかというと、必ずしもそうでないのであった。

 

青臭い感情が邪魔してド売れ筋の漫画が描けない、とお悩みの方。

一度ご自身が思うド売れ筋の漫画の分析をして勉強して、自分の中の何がそんなにド売れ筋に抵抗しているのか書き出してみると、その青臭さから決別できるかもしれませんよ。

 

私はこの記事を書くことで、ド売れ筋に何がどんな抵抗があるのかハッキリと言語化ができて、少し楽になりました。

 

モヤモヤだけを抱えていたら、ド売れ筋は描けないし、ピーキーにも走れないし、ド売れ筋は羨ましいしで、半端に終わっちゃうという恐怖が待ってるかもしれません。

 

ヒーやだー。

 

 

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